主な疾患
うつ病

一生のうち、15人に1人は罹患すると言われている疾患です

うつ病の症状、要因
気分が落ち込み、意欲も低下して、何もしたくない。多くのことに対して、悲観的に考えてしまい、自然に涙が出てくる。今まで、好きだったことに対しても興味が持てず、何をしていても楽しくない。集中力や思考力も低下し、仕事も進まず、決断力もなくなる。仕事や家事も進まず、自信が持てなくなり、自責の念が強まる。何に対しても、喜びを感じられなく、無力感、虚無感が強く、将来についても悲観的になり、生きていたくないなどと考えてしまう精神症状。
倦怠感がつよく、常に身体がだるく、終日横になっていたい。寝付きが悪い、夜間、何度も覚醒してしまう、朝方早く、目が覚めてしまう、熟睡感がないなどの睡眠障害。食欲がない、何を食べても美味しくない、味がしないなど食欲不振。この他、頭痛、吐き気、身体の痛みなどの身体症状。
上記の精神症状や身体症状が少なくとも2週間以上持続する場合はうつ病の疑いが強いです。うつ病の原因はまだ、明確に解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)の関与が指摘されています。
また、罹患する契機として一番多く見受けられるのは、仕事上のストレス(仕事量が多い、勤務時間が長い、対人関係など)、私生活の問題(友人関係のトラブル、金銭面の心配、健康面の心配など)があります。発達障害などが基礎疾患としてあり、問題の対処法,解決法がわからないなどのために、学校、職場に適応できず、うつ傾向になるなど個々人の要因もあげられます。また、特に誘因なく、うつ病に罹患することもあります。


治療



薬物療法、精神療法、環境調整(勤務時間、業務内容の調整、休職など)、マイナス思考になりやすい考え方の修正には認知行動療法

薬物療法
うつ病には、脳内の神経伝達物質、セロトニン、ノルアドレナリンの関与が指摘されていますので、それらを調整する薬物が主体になります。

SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害剤
SNRI:選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
非定型抗精神病薬:アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなど
この他、睡眠薬、抗不安薬など。

SSRI、SNRIは、服用はじめに、吐き気、眠気、便秘などの副作用が現れることがあります。副作用がなければ、規則正しく服用していきます。薬物療法の効果が現れるまでには、少なくとも、数週間程度かかること、症状の改善には月単位の治療が必要であることを理解し、焦らずに治療に専念することが重要です。また、症状が改善しても数ヶ月間は維持療法が必要であること、症状、環境が落ち着いてから、ゆっくりと減薬、中止していくことが重要です。また、抗うつ薬は服薬を急に中断すると、退薬症状(めまい、ふらつき、しびれなど)が出現しますので、急激な中断はしないように気をつけることが大切です。

精神療法
うつ病の治療には、休養が必要であること、休養を取ることに罪悪感を持たないようにすること、また、他の疾患と同様にうつ病の治療には薬物療法が有効であることを理解すること、うつ病は段階的に緩やかに改善していく疾患ですので、焦らずに治療に専念することが重要です。うつ病に罹患する方の性格としては、悲観的な考えに陥りやすい、マイナス思考があります。心理検査で、性格傾向、対人交流面の傾向、ストレスの対処方法などを客観的に把握することも大切です。 また、心理検査の結果をもとに、マイナス思考などの改善のために、認知行動療法も有効です。

環境調整
うつ病の治療は、休養を取ることがとても重要ですので、仕事をしている方で、症状の重たい方は、休職の検討も重要です。
急に、休職をすることが困難な方には、勤務軽減、部署異動など負荷が減るように、環境調整していくことが大切です。病状の重さによっては、入院治療の検討も必要です。

その他の注意点
うつ病は寛解(改善)後も、再発予防が重要です。 そのため定期的な通院治療が望まれます。